アニマシオンは、子どもを読書好きにできるか?

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アニマシオンは、子どもを読書好きにできるか?

書評:有元 秀文『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』

『子どもが必ず本好きになる16の方法』を読んでみた

読書へのアニマシオン」という言葉を、聞いたことがあるでしょうか? おそらく知っていらっしゃる人の方が稀少かもしれません。(若い人なら言葉は知らなくても体験したことはあるかも)

「読書へのアニマシオン」というのは何かと申しますと、モンセラ・サルトさんが開発した読書教育法のことをいいます。読書教育法なんて言うと、なにやら難しそうに感じられるかもしれませんが、そんなことはありません。

読書へのアニマシオンは、「遊び・ゲームを通して、子どもたちに読書することの楽しさを知ってもらい、読む力を引き出しましょう!」というユニークな試みなのです。

もし、あなたのお子さんや、あるいは生徒さんたちが、読書にまるで興味を示さなくて困っているのであれば、一度試してみると良いかもしれません。


『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』とは?

今回の教材は、『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』という本です。

1:『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』とは?

子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』は、教育学者の有元 秀文(ありもと ひでふみ)さんが書いた本です。

子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン

第1刷(初版本)の発行は、2006年1月5日とあります。私が手にしているのは、第6刷(発行:2010年6月25日)です。

2:有元 秀文さんの略歴

以下、有元 秀文さんの略歴です。(奥付から引用)

  • 山口県岩国高校では魚釣りと川泳ぎばかりしていた。
  • 早稲田大学では読書と討論ばかりしていた。
  • 都立新宿高校教諭になってからはエネルギーの大半をバトミントン部の指導に費やしていた。
  • 文化庁国語調査官を経た。
  • 国立教育政策研究所の研究者になってからは、どうしたら子どもたちの「読書とコミニュケーション」の力を育てられるか、その授業の改善に主力を注いでいる。

3:対象とする読者は?

(1)寡黙は美徳?

「日本人は、相手に自分の考えを伝えるのがヘタだ」と言われることが多いようです。あるいは、「何を考えているのか分からない」とかですね。昔っから言われている。

ただそれが全面的に悪いかというと、そうでもないですよね。ミステリアスな魅力にもなりえるし、余計なことを言わないことによって未然にトラブルを防ぐという良い面もあるように思います。メリット、デメリットはある。

でもね、今後、好むと好まざるとに関わらず、世の中はますますグローバル化が進んでいきます。海外の方々や価値観の違う人たちと接する機会が今までよりも格段に増えていくことでしょう。そのような状況においては、メリットだけを声高に言ってばかりはいられなくなるかもしれません。

もし、そのような世の中になっていくとしたなら、それでは、どのような能力を養っておく必要があるのでしょうか? どのような教育が必要になってくると思いますか?

(2)今後、求めらていてくであろう資質

「グローバル化」という名のもとでごっそり儲けようとしている人たちがいます。世の中には、「おれの物はおれの物、お前の物もおれの物」にしたい人というのがいるんですね。

すべてを独占しないと気の済まないような人たちがいる。

「うわーやだなー」「あさましいなー」と思うわけですが、いるんだからしようがない。重要なのは、そういう人たちとどのように向き合い対峙していくのか? ということなのだと思います。

そして、そのようなときに必要になってくるのが何かと言うと、「コミニュケーション能力」だと思うんですよね。

(3)求められる高いコミニュケーション能力

そうは言っても、単なるコミニュケーション能力ではありません。相手の話を聞き、その上で自分の考えも伝え、うまくコンセンサスをとって問題を解決していけるような、そういった高いコミニュケーション能力です。

もちろん英語などの語学も大切でしょうけれど、それ以前の問題として、自分の考えを要約したり、短時間で誤解なく伝えたり、期待する方向へ会話を導くことができる。そういった基本的な核をなす能力を養っておく必要があるのだと思います。

それは、自分が不当に損をしないためにも必要なことなのです。

相争(あいあらそ)って軽々しく交渉が決裂してしまうようではいけません。これは、たとえグローバル化が進まないにしても、そもそも必要とされているとても重要な能力であろうと思います。

(4)コミニュケーションの力を育てる方法とは?

さて、それではどうすれば良いのでしょうか? 友達とおしゃべりしていても、そういったコミニュケーション能力が身につくわけではありませんよね。

何かお勉強すれば良いのでしょうか? 本を読んだだけで能力は高まるでしょうか? 本書には、以下のように書かれています。(以下、P5から引用)

「朝の読書」「10分間読書」「読み聞かせ」はいずれもすぐれた読書教育です。しかし、それらだけでは、国際社会で最も必要な、読んだ後で発表し話し合うコミニュケーションの力は育ちません。

(『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』より)

そして、現状、高いコミニュケーション能力を養っていくためのひとつの方策として挙げられているのが「読書へのアニマシオン」です。(以下、P4から引用)

読書へのアニマシオンは、どんな子どもでも読書好きにし、読んだ後で自分の意見を言い、話し合って読みを深め合うコミニュケーションの力を育てる最適の方法だと思います。

(『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』より)

「読書へのアニマシオン」の有用性は、読書への興味を持たせるだけでなく、遊び・ゲームを通して、自分の意見を伝えることのできる人間も育てるところにあります。コミニュケーション能力を高める効果もあるんですね。

そのようなわけで、この本は次のような人に向けて書かれています。

  • 子どもに、読書好きになってほしい、興味を持ってほしいと考えている人。
  • 子どもに、読書を通してコミニュケーション能力を身につけてほしいと考えている人。
  • 現状の学校教育に不安を感じている人。

4:目次

以下、『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』の目次です。

  • はじめに
  • 読書へのアニマシオン
  • 集中して本を聴く子どもを育てる
  • 集中して絵を見る力をつける
  • 集中して本を見、話し合って問題を解決する力をつける
  • 集中して本を聴いて理解し、体で表現できる子どもを育てる
  • 集中して本を聴き、質問に論理的に答える子どもを育てる
  • 話し合って問題を解決し、論理的に構成できる力を育てる
  • 想像力と論理的表現力を育てる
  • 物語の本質をつかみ、創造的に表現できる子どもを育てる
  • 自分で問題を発見し、自分の意見を発表できる子どもを育てる
  • 集中して聴き、相互批判によって文章の誤りを批判的に判別できる子どもを育てる
  • ディベートのできる子どもを育てる
  • クイズで楽しみながら、集中して読める子どもを育てる
  • 俳句を楽しみながら、言語感覚を磨き創造性を育てる
  • 詩が大好きな子どもを育てる
  • 詩の音読が大好きな子どもを育てる
  • 詩的な言語感覚を養い、詩を構成する力を育てる
  • 解説
  • よくある質問
  • 参考文献
  • 巻末資料

読書へのアニマシオンについての基本的な考え方、やり方、選書の仕方などが分かりやすく書かれています。

この本では、75個あるアニマシオンの作戦のうちの選りすぐりの16個が紹介されていますので、入門書として最適だと思います。


アニマシオン「作戦15:合戦」とは?

それでは、この本で紹介されている読書へのアニマシオンの16個の作戦の中から、とくに私が「これはおもしろいかも」と思ったものをひとつだけ特別にご紹介させていただきます。

1:アニマシオン「作戦15:合戦」とは?

アニマシオン「作戦15:合戦」の大まかな内容は以下ようです。

  • 本を読む。
  • その本にちなんだ、クイズを作成する。
  • 2チームに分かれて、クイズを出し合う。
  • 得点を集計し、勝ち負けが決まる。

2:アニマシオン「作戦15:合戦」の進め方

もう少し詳しく説明していきますね。(以下、枠内は『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』のP57より引用)

(1)本を読む

はじめに、「読み聞かせ」をしましょう。有元さんのこの本では、その場で「読み聞かせ」をするやり方が紹介されています。

子どもたちを丸く座らせて、ゆっくり心を込めて読んであげてください。

※:「子どもたちを丸く座らせて」というのは、円状に座るということです。

子どもたちを円状に座らせて、「読み聞かせ」を行う

また、参加する人数分の本がそろうようであれば、事前に子どもたちに読んできてもらっても良いと思います。(参考資料:『子どもと楽しく遊ぼう 読書へのアニマシオン―おすすめ事例と指導のコツ』のP79より)

「アニマドール」とは、読書へのアニマシオンにおいて、読み聞かせやゲームの説明・進行などを行う人のことです。

(2)簡単なディスカッション

感想を述べあったり、雑談などをしてリラックスする時間をもうけましょう。本を通してコミニュケーションをとることが大切です。

「どこが面白かった?」など聞いてみてください。

「読み聞かせ」に関する本の中には、感想を聞かない方が良いとするものもあるようですが、アニマシオンの場合は感想を聞くのが普通のようです。

昨今の傾向として、「抽象的な問いが悪い」のであって、「より答えやすい具体的な問いは良い」とする本が増えてきているようですね。感想を問う側の質こそが問われています。

(3)おさらい

「あらすじ」のおさらいを軽く行います。

あらすじをざっとおさらいします。あまり詳しくやってはいけません。

事前に読んできてもらった場合はとくに、情報共有の意味でもゲーム前におさらいをしておくと、記憶が立ってくるのでやっておくと良いように思います。

(4)グループを分ける

グループを2つに分けましょう。

子どもたちを半分の人数に分けて二つのグループをつくります。20人いたら10人ずつのグループに分けます。

個々の能力が事前にある程度分かっているのであれば、グループの能力が均等になるように分けたほうが良いかもしれません。

(5)子どもたちが質問を作る

それぞれのグループごとに、本の内容にちなんだ質問(クイズ)を、子どもたちに作ってもらいましょう。

グループごとに20個ぐらい質問をつくります。質問の答えは必ず本の中に書かれていなければいけません。想像や類推で答えるような質問は駄目です。

本を見ながら質問(クイズ)を考えて良いか否かによっても、おもしろさはだいぶ違ってきそうですね。

本を見て考えても良い場合は、本の数が少なくて、一部の子どもしか質問づくりに参加できていないなどというつまらない状況にならないよう気をつける必要があるように思います。

また、参加する人数分の本がそろうのであれば、事前に読んできてもらったときに質問(クイズ)もあわせてそれぞれ 3つくらい考えてきてもらうと良いようです。(参考資料:『子どもと楽しく遊ぼう 読書へのアニマシオン―おすすめ事例と指導のコツ』のP78より)

(6)並び方

アニマドールの位置を基準にして、Aグループ・Bグループ左右一列ずつに分けて、子どもたちをそれぞれ向かい合わせて並ばせます。

一方のグループの10人が、イラストのように一直線に並んで、もう一つのグループの10人と向かい合います。
アニマドールの位置を基準にして、Aグループ・Bグループ左右一列ずつに分けて、子どもたちをそれぞれ向かい合わせて並ばせる
(7)質問を出し、それに答える

そして、片方のグループの子ども(A1)が質問を出し、その向かい側の子ども(B1)が答える形で進めます。

得点は、向かい側の子(B1)が答えられたら2点、同じグループの他の子(B2、B3)が答えた場合は1点、答えられないときは0点です。

Aグループのどちらかの端の子どもが、Bグループの真向かいの子どもに質問を出します。その子が答えられたら2点を与えます。その子が答えられないときは、だれでもいいから同じBグループの子どもが答えられたら1点を与えます。だれも答えられなかったら0点です。
片方のグループの子ども(A1)が質問を出し、その向かい側の子ども(B1)が答える形です。
(8)さらに質問を出し、それに答えていく

次は、その向かい側の子ども(B1)が質問をする番です。答えるのは、A1の子です。そうやって順番に交互に進めていきます。

次に、Bグループの端の子どもが質問を出します。こうして順々に端から端へ質問を出し合います。
次は、その向かい側の子ども(B1)が質問をする番です。答えるのは、A1の子です。
(9)集計

最後に得点の集計をして、どちらが勝ったか発表しましょう。

最後に集計します。勝ったチームに拍手しましょう。

拍手はどうでしょうね、私だったら少ししらけた気持ちになるかもしれません。それより、ポイントカードのようなものを作っておいて、勝ったグループにはスタンプを押したり、あるいはシールを貼ってあげると良いように思います。

形として残れば、その後の意欲へとつながっていきます。

わりとその~、小さい頃ってスポーツの得意な子ばかりが評価される傾向がありますよね。勉強のできる子は、「ガリ勉」だの「勉強虫」だのとひどい扱いをうけることさえある。

何かこういうことをきっかけにして、「勉強するほうが好きな子」も、うまく子どもたちの間で評価されやすい雰囲気をつくってあげられたら良いように感じました。


太宰治『走れメロス』クイズ

それでは、アニマシオンとはちょっと違うかもしれませんが、恒例のクイズを行います。使用する本は、太宰治さんの『走れメロス』です。

良かったら、青空文庫あたりでご覧になってから挑戦してみてください。掌編ですから、それほど時間はかからないはずです。

※:各選択肢の左側にある黒い箇所をクリックすると、回答(○か×)が分かります。

問題1:『走れメロス』の冒頭は?

『走れメロス』の冒頭の文章についての問題です。次のうちから正しいものを選んでください。

×

【A】

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと。

×

【B】

メロスは激怒した。許せるものか、必ずあの邪智暴虐の王を除かねばならん。

×

【C】

メロスは激怒した。必ずや、かの邪智暴君の王を除かなければならぬと。

【D】

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

問題2:なぜ王さまは人を殺すのか?

王ディオニスは、なぜ多くの人を殺すのでしょうか? その理由を、次の中から選んでください。

×

【A】

乱心した。

【B】

人を信じる事ができないため。

×

【C】

自分の地位を守るため。

×

【D】

王とはそういうものです。

問題3:メロスのきらいなものは?

メロスにはきらいなものが2つあります。ひとつは「人を疑うこと」ですが、もうひとつは何でしょうか? 次の中から選んでください。

×

【A】

人を欺くこと。

×

【B】

人に疑われること。

【C】

嘘をつくこと。

×

【D】

生ハムをのせたメロン

問題4:メロスの心に迷いが生じたのは?

「もうどうでもいい」というあきらめの気持ちがメロスの中にうまれ、心に迷いがしょうじたのはいつですか? 次の中から選んでください。

×

【A】

昨夜から続く雨によって川が氾濫し、濁流となっているのを見たとき。

【B】

灼熱の太陽が照って、幾度となくめまいをおぼえたとき。

×

【C】

山賊に襲われて傷をおい、極度の疲労がおしよせたとき。

×

【D】

セリヌンティウスの弟子が「もう、駄目でございます」と言ったとき。

問題5:少女がメロスにマントを渡した理由は?

物語の最後の場面です。あるひとりの少女が、メロスにマントを手渡しました。その理由を次の中から選んでください。

【A】

メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しかったから。

×

【B】

メロスの大事な部分がポロリしていたので、見ていられなかったから。

×

【C】

この人こそ本当の王さまにふさわしい勇者だと感じたから。

×

【D】

王さまから命令をたまわったから。侍女として当然のつとめ。


太宰治『走れメロス』クイズに関する補足

いかがでしたか? わりと難しかったかもしれませんね。

この難易度で 4問以上正解できるようなら、読解力・集中力・記憶力などがだいぶ高いと考えて良いのではないでしょうか。

補足1:『走れメロス』の冒頭は?

答えは、【D】です。

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

(太宰治『走れメロス』より)

それぞれの選択肢にあまり違いをつけなかったので、これを当てた人はかなりのもんじゃあなかろうか。問題の中で一番難しかったかもしれません。

太宰さんの表現の仕方や文章の特徴に精通しているか、よほど勘がはたらかないと正答は難しかったように思います。当てた人は、すごいです。

補足2:なぜ王さまは人を殺すのか?

答えは、【B】の「人を信じる事ができないため。」です。町へ出かけていったときに、老爺(ろうや)が次のように言っています。

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」

(太宰治『走れメロス』より)

また、王ディオニス自身も次のように述べています。信じることができないために、人を殺しているのですね。

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」

(太宰治『走れメロス』より)

子どもの頃に読んだときには気づきませんでしたが、この王さまって「邪智暴虐の王」ではないのですね。それどころか、強欲な周囲の人々を誅してきた優れた王さまだったのでしょう。

ところが、強欲で身勝手な人が次から次へと表れるものだから、過敏になって忠臣さえも「信じられなくなってしまった」のだと王ディオニスは言っている。

人を信じるのって難しいですよね。相手を「殺す」というのは極端ですが、誰しもこういうことってあります。

また、相手にも問題はあるのかもしれないけれど、自分の側にも何かしら原因があるのが普通です。たいていはそうですよね、片方だけが一方的に悪いということなんてそうそうありません。やすやすと自滅してしまうことさえある。

  • 例えば、心を許して相手を信じはじめる。
  • そして、いつのまにか自分の都合の良いように相手に期待してしまう。
  • ちょっとしたことで勝手に裏切られたと思い込む。
  • 思うとおりにならないからと、相手の存在がなかったかのようにふるまいはじめる。

などということがね、ありますよ。王でなくともね。人間というのは、じつに弱い生き物です。だからこそ、コミニュケーションをとって、うまく気持ちを伝えあうことが必要なのだと思います。

補足3:メロスのきらいなものは?

答えは、【C】の「嘘をつくこと。」です。祝宴のときに、妹にそのように話しています。

「おめでとう。~(中略)~おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」

(太宰治『走れメロス』より)

これは「伏線」とまでは言えないかもしれませんが、後半への前振りなのでしょうね。ほのめかしている。

これによって、後半への葛藤へと、物語は自然につながっていきます。

一番の友に、嘘をついても良いのか? いや嘘をつくつもりはなかったのだから、仕方がないじゃないか。きっとセリヌンティウスなら分かってくれるさ。 仕方がない? 分かってくれるだと? 私は何を考えているのだ!

名作と呼ばれる作品にはたいてい人間の葛藤が描かれています。2つの選択肢の間で悩む姿が、物語をいっそう盛り上げます。

補足4:メロスの心に迷いが生じたのは?

答えは、【B】の「灼熱の太陽が照って、幾度となくめまいをおぼえたとき。」です。

川の氾濫(【A】)には愚痴はこぼしても心は折れませんでした。山賊に襲われた(【C】)ときも同様です。本文に「傷をおった」とも書いていませんから、【C】は明らかに間違いです。

【D】の弟子の言葉「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」に対しては、メロスのまったく揺るぎない気持ちさえ見て取れます。

「もうどうでもいい」と体を投げ出してしまったのは、いつなのかという問いですから、太陽にジリジリと焼きつけられたときなのです。

補足5:少女がメロスにマントを渡した理由は?

答えは、【A】の「メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しかったから。」です。セリヌンティウスが次のように言っています。

「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

(太宰治『走れメロス』より)

このシーンがあることによって、作品の質がぐっと上がっていますよね。

単に裸を見ることが恥ずかしいからではなく、勇者のように感じている人(メロス)に恥をかかせたくない、そのような姿を大衆に見せたくないという気持ちがよく伝わってきます。

さらに少女にはどこか、「自分だけの勇者なのだ!」と、そういう勇者を独占したいような感情すらもうかがいしれます。見え隠れさせている。

そのような淡くほのかな言い知れない感情をちらつかされることによって、主人公メロスへ感情移入している読者ほど、心地良いような、あるいは照れくさいような気持ちを味わうこともできますね。太宰さん、ほんとうまいっすなあ。さすがです。


読書へのアニマシオンは子どもだけのもの?

1:大人だってアニマシオン!

「アニマシオンなんて、所詮、子ども同士のお遊びでしょう?」と思ったかたもいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうではないと思います。

これは大人でも、あるいは家族でもじゅうぶん楽しめる遊び・ゲームになりうるのではないでしょうか。

例えば、勉強会であるとか、読書会の中でやってみたらけっこう盛り上がるように思います。Twitterなどを使えば、ネット上でもやろうと思えばできるかもしれません。

家庭内でも、4人(例えば、親2人、子2人)くらいメンバーがそろえば、なんとかできそうです。子どもだけのものと決め付けてしまうのは、どうにも惜しい感じがいたします。

2:斉藤孝さんの読書クイズ

アニマシオンというわけではありませんが、斉藤孝さんの本『読書力』の中(P185)でも、読書クイズがおすすめされています。

読書力 (岩波新書)

斉藤さんは、中学生の頃から30歳頃まで友人と読書クイズを出し合って楽しんできたそうです。賢い人というのは、そんなふうに「学ぶ」ことを自然と楽しめてしまうんですね。

私なんて、書評ブログとしての差別化のためにようやくうまれた考えだものなあ。賢い人というのは、学ぶことをおもしろくする術にやすやすと若い頃から気づいてしまうものなのね。(羨ましすぎて溜息しかでないわ)

3:お試しくださいアニマシオン

さて、いかがでしょうか。読書へのアニマシオンを、子どもだけのものと考えるのはもったいないと思いませんか?

まず大人がそのおもしろさを味わってみる。そして、子どもと戯れながら、さらに一緒に成長していくというのが理想的だと思うんですよね。

また、「どうにも読書が続かない」という人にも良いと思います。「読まなければいけない」「覚えなければいけない」では疲れてしまいます。

少し肩の力をぬいて、遊びを取り入れてみたらまた違った別の景色が見えてくるかもしれませんよ。もれなくコミニュケーション能力もついてくるのでお得です。


この本のおすすめ度

子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』のおすすめ度は、94点です。

『子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン』のおすすめ度は94点

「読書へのアニマシオン」に関する本はけっこう多いのですが、この本ほど簡潔で分かりやすい本はないように思います。

非常に要点がしぼられており、他書のように、「本を人数分そろえなければいけない」というような現実味のないやり方を紹介するのではなく、できるだけ現実にそってできるような工夫をほどこして書かれています。

さらに、資料(素材)も添付されているので、とても実用的です。

また、現状の読書教育についての問題点や、大人たちがどういうことを考えていかなければいけないかも、分かりやすくまとめられています。100ページ程度の本ですが、内容は濃いですね。


アニマシオン・読書力を高めてくれる本

1:有元 秀文さんの主な著作物

以下、有元 秀文さんの主な著作物です。

子どもが必ず本好きになる16の方法・実践アニマシオン 読書へのアニマシオン入門―子どもの「読む力」を引き出す PISAに対応できる 「国際的な読解力」を育てる新しい読書教育の方法―アニマシオンからブッククラブへ (シリーズ学校図書館)
子どもが本好きになる七つの法則―10才になるまでに、親がしなければならないこと イラスト版 こころのコミュニケーション―子どもとマスターする49の話の聞き方・伝え方

2:その他のアニマシオンに関する本

その他にも、アニマシオンに関する本はたくさん出版されています。

読書へのアニマシオン―75の作戦 子どもと楽しく遊ぼう 読書へのアニマシオン―おすすめ事例と指導のコツ (ネットワーク双書) はじめてのアニマシオン―1冊の本が宝島
ぼくらは物語探偵団―まなび・わくわく・アニマシオン 読書で遊ぼうアニマシオン―本が大好きになる25のゲーム みんなで楽しむ読書へのアニマシオン
読む力を育てる読書へのアニマシオン (学校図書館入門シリーズ (14)) 10の観点で読むアニマシオンゲーム (使える国語科ベーシック)
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次回予告

次回も、何か本をご紹介する予定です。(利益を倍増させるレバレッジの効いた読書がしたいぞ!


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スキルアップしたい人のための記事をご紹介します。

作成日:2011/12/07 更新日:2011/12/07

コメントありがとうございます。

お手数ですが、コメント前に留意事項をご覧くださいませ。

また、現在ご質問にお答えする余裕がない状態にあります。よろしくお願いいたします。

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